デメテルとペルセポネ

２年前の夏、精神科に入院になってしまった原因になった、
神話上の登場人物が、私の口を通じて勝手にしゃべるという症状がおこりました。

私の口を通じてしゃべったのは、ギリシャ神話の大地の女神デメテルと、その娘のペルセポネです。

ギリシャ神話では、二人は非常に仲の良い親子です。
ある時、冥界の王プルートーが、ペルセポネを誘拐して自分の妻とし、
絶望したデメテルは大地に恵みを与えるのをやめてしまったのですが、
ゼウスの計らいでペルセポネはデメテルの元に戻りました。
しかし、ペルセポネは食べると冥府の住人になってしまうザクロの実を冥界で食べてしまい、
そのおかげでペルセポネは１年の半分を冥界で過ごさなくてはならなくなりました。
そのため、ペルセポネのいない間、秋と冬はデメテルの恵みを受けられない大地は、
寒くて不毛の時期となりました。

以上が正当なギリシャ神話ですが、私の口を通じてしゃべられたデメテルとペルセポネの関係は、
血みどろの悲しい話でした。
まず、ペルセポネはデメテルと違ってあまり美しくはなかったらしいのですが、
デメテルはそんなペルセポネを心配し、自分の美しさを犠牲にして、
たくさん素敵な恋をしてほしいと、ペルセポネに美しさを与えました。
（デメテルの、自分の美しさを犠牲にしてまで娘に美しさを与えるという行為は、
まさに神にしかできない献身だと思います）
ギリシャ神話の神々は、その神を殺すと、その殺し方によって、
その神の良いところを、殺したほうの神が手に入れるという法則がありました。
ペルセポネは美しさを与えられただけでは飽き足らず、
デメテルの美しい歌声が欲しいと思い、
デメテルが寝ている間に、ペルセポネの言い方を借りれば「（デメテルの）喉を掻っ切って」
殺し、美しい歌声を手に入れました。
デメテルは、殺されたことについて、「そこまでされるとは思っていなかった」
言っていました。

ペルセポネは冥界の王プルートーの妻になってしまったから、
酷い神になってしまったのでしょうか。
いずれにせよやりきれない話だと思いました。

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